2007-12-30

■郷原信郎氏のTBS井上弘社長への公開質問状



OCRでテキストにしてみました。
http://www.cc.toin.ac.jp/crc/index2.html
2007年11月28日
公開質問状
株式会社東京放送 代表取締役社長 井上弘 殿
        桐蔭横浜大学コンプライアンス研究センター長
                              郷 原 信 郎
 私は、不二家信頼回復対策会議議長として、本年3月30目に公表した同会議報告書の中で、貴社が本年1月22目に放映した「みのもんたの朝ズバッ!」の中での、「賞味期限切れチョコレート再利用疑惑」の放送に虚偽捏造の疑いがあることを指摘し、同月末に同会議の活動が終了した後も、コンプライアンス研究センター長の立場で、4月2目付けで貴殿宛に「公開質問状」を発送したり、BPO放送倫理検証委員会への審理の要請を行うなどして、同番組の虚偽捏造の有無を明らかにするための活動を行ってきたものです。
 同番組については、私どもの要請を受けて、BPO放送倫理検証委員会の審理が開始され、本年8月6日に出された同委員会の「見解」の中で、同番組に放送倫理上重大な間題があることが指摘され、貴社が6月13目に設置した検証委員会において行われた「事実経過の検証」と「問題点の分析評価」の結果が、本年11月16目に報告書として公表されました。
 しかし、当職において同報告書の内容を精査し、本年3月25目、不二家役員会議室での会談(以下、「不二家・TBS会談」と言う。)の際に、貴社のコンプライアンス室長、番粗プロデューサー、曜目プロデューサー(以下、「TBS本件担当者」)が当職及び不二家広報室長らに対して発言した内容と比較したところ、核心部分において重大な相反があることが明らかになりました。この点は、今回の貴社の同番組における「捏造の有無」、同報告書でも検討されている貴社の本件問題への対応の経過及び評価に影響する重大な事項です。
 同番組の虚偽擾造疑惑は、その後、マスコミでも報道されるなどして大きな社会的関心を集め、放送事業者に対する公的規制の在り方に関して国会の衆議院決算行攻監視委員会での審議の対象にもなった事件です。そこで、上記相反部分について事実関係の確認と貴社の見解を求める必要があると考え、今回、再び、貴職宛に公開質問状を送付することにしたものです。

 問題は、貴社検証委員会報告書14頁において、「担当D (ディレクター)は、『カントリーマアム』を単純にチョコレートの一種、すなわちチョコレートの具体的な商品名と誤解していることが判明した。このため、チョコレート以外のものに関する証言を、意図的にチョコレートに関する証言として編集したという認識・自覚がまったくなかった」と述べられている点です。同報告書では、それに引き続き、担当Dの思い込みと混同による編集が判明したことを受けて、対策チームが行った検討、評価に関して、「同じ内容の秦材がある時は、簡潔、明瞭に表現している方を放送に採用することはよくあることであり、担当Dも誤解に基づきそのような処理をしたものと判断される。不二家「信頼回復対策会議」の議長らが主張する"捏造"という観点からすれば、大きな問題ではない。」との見解が紹介され、その当否についての検討・判断は、同報告書中では一切行われていません。

 不二家側の回答によって平塚工場では製造していないことが判明した「カントリーマアムを平塚工場で再利用した」との証言は明らかに虚偽であり、その証言を、平塚工場でのチョコレート再利用に関する証言に流用して放映することが「大きな問題ではない」とする感覚白体が理解し難いものでずが、いずれにせよ、同報告書が、カントリーマアムに関する証言のチョコレート再利用に関する証言への流用が意図的なものではなく 「捏造」ではないことの唯一の根拠としているのは、担当ディレクターが、カントリーマアムはクッキーではなくチョコレートの一種であると誤解していたということです。
 一方、不二家・TBS会談(双方合意の上で録音し、録音CDを3月30日朝に貴社宛送付しています)では、「不二家平塚工場元従業員と称する女性」の証言に関して、番組プロデューサーが「チョコレート工場なのになんでクッキーが戻ってくるのかなあと思って」と述べ、引き続いて、コンプライアンス室長が「これはある種、秘密の暴露ですよ、・・・外の人が絶対知りえないことですよ」と発言しています(録音の冒頭から約49分)。また、カントリーマアムに関する証言を放映しなかった理由について質問された曜日プロデューサーが、「複数の確認がちょっととれなかったのと、あのときも、全くカントリーマアムは、平塚工場で作られてないという事もあったんで」と答え、番組プロデューサーは「証言の精度は、つまり複数の共通した証言がなかった。チョコレートにはあったんですけど」と説明しています。さらに、会談の終わりの頃において、曜日プロデューサーは、「チョコレート工場なのに、『何でクッギーが戻ってくるんだろう』ということを疑問に思いながらも、そういう指示で…そういう作業を行っていましたというようなことなんですよ。」と述べています(録音冒頭から約2時間25分)。
 すなわち、同会談の席でTBS担当者らは、番組編集段階で、「元従業員」がチョコレート工場である平塚工場には本来戻ってこないはずのクッキーのカントリーマアムが戻ってきて、それについて作業を行っていたと証言していたこと、しかし、複数の証言がとれなかったのでそのカントリーマアムについての証言を敢えて放映せず、チョコレートについての証言のみ放映したことを明確に述べています。しかも、カントリーマアムに関する証言の編集は担当ディレクター限りのものではなく、少なくとも曜日ディレクターがその判断に関わっていたことを、そのディレクター自身がはっきりと認めているのです。
 報告書の内容と、この不二家・TBS会談でのTBS本件担当者の発言は明らかに矛盾しています。会談での発言が真実であるとすると、「チョコレートエ場なのになんでクッキーが戻ってくるのか」との証言を編集した担当ディレクターはカントリーマアムがクッキーだと明確に認識していたはずであり、それをチョコレートの一種と誤解することはありえません。この場合、「カントリーマアムをチョコレートと誤解していたもので意図的ではない」との貴社の主張は根本から崩れます。しかも、カントリーマアムについての証言ビデオの編集は担当ディレクター限りで行ったとの報告書の記述も事実に反することになります。
 一方、仮に、「元従業員」が「チョコレートエ場なのになんでクッキーが戻ってくるのか」と証言していた事実がないとすると、番組プロデューサー、コンプライアンス室長などTBSの責任者3人が、口をそろえて「真っ赤な嘘」をついていたことになります。しかも、それが行われたのは、TBSが放映した番組の虚偽捏造の疑いに関して、不二家側のみならず第三者有識者の当職も同席する会談の場です。「捏造」の疑いを指摘されている放送事業者にはあるまじき態度と言わざるを得ません。

 「元従業員」が「チョコレート工場なのになんでクッキーが戻ってくるのか」と証言していた事実があるのか否かは、本件放送に関する「捏造」の有無のみならず、貴社の本件事後対応の評価にも重大な影響を与える事実です。この点について、早急に事実確認を行うとともに、貴社の見解を明らかにされるよう求めます。


 不二家は、「朝ズバッ」での一連のバッシング報道によって大きなダメージを受けました。その中で行われたのが1月22目放映の「朝ズバッ」での「賞味期限切れチョコレート再利用疑惑」の放送です。その放送中に「捏造」があったか否かも、もちろん重大な問題ですが、私は、その担造疑惑問題について貴社がとってきた対応の方がそれ以上に大きな問題だと思います。
 20年近く前、貴社は、オウム真理教が起こした坂本堤弁護士一家殺害に関して、同弁護士のインタビュービデオをオウム真理教側に見せるという重大な誤りを犯しました。その後、坂本弁護士一家は殺害されました。そして、そのことが問題にされた後も、ビデオを見せた事実を一貫して否定し、それを報じた他のテレビ局に対してもただちに抗議を行い、ビデオを見せた事実はないとの社内調査報告書を公表し、衆議院法務委員会での参考人質疑でも、当時の常務取締役が全面否定しました。その後、事実を全面的に認め、社長以下が辞任する事態に追い込まれた貴社は、不利な事実を一貫して否定してきたそれまでの対応が、いかに社会からの信頼を失墜させたかを痛感したはずです。貴社は、深い反省の上に立って、報道機関として信頼を取り戻すために、真剣な努力を重ねることを誓ったはずです。しかし、今回の問題に対する貴社の対応を見る限り、その反省が活かされているとは到底思えません。不二家側から抗議を受けて以降、放映内容に関して法的責任の追及を免れるために、不白然・不合理な弁解を重ねてきたことの延長線上にあるのが、今回の報告書の内容と不二家・TBS会談での発言との間の重大な矛盾です。このような姿勢を続けていくことは、放送事業者として社会の要請に応えていくという真のコンプライアンスを見失わせることになりかねません。それは、最近、貴社が、白いんげん豆ダイエットでの健康被害問題、亀田父子のボクシング興行間題などで多くの社会的な批判・非難を受けていることと決して無関係ではないと思います。
 貴社、そして、全国の系列局には、良い番組や迅速で正確なニュース等を放映するために日夜取り組んでいる多くの良識ある番組関係者や報道関係者がいます。貴社が、本件「朝ズバッ」の問題を含む多くの問題に対して、放送事業者として事実と真摯に向き合う姿勢をとり社会的責任を果たそうとしなければ、彼らの努力を無にすることになりかねないと思います。

 なお、前回送付した公開質問状において、記者会見の場で貴社関係者との会談の録音を公開した当職の行為に対して貴社が「道義・モラルに明らかにもとる」とコメントされたことに対して、当職の見解を述べるとともに貴社の反論があれば回答するよう要求しましたが、8ヶ月以上を経過した現在に至るまで貴社からは何らの回答もありません。当職の録音公開への批判コメントは撤回されたものと理解しており、本公開質問状に関連する会談録音についても公開する予定です。

 本年3月以降、本件問題についての活動を続けてきましたが、今回の公開質問状をもって締めくくりにしたいと思います。本質問状に対して、12月4日までに誠意ある回答をされることを求めます。


参照
お笑いみのもんた劇場: ■『みのもんたの朝ズバッ!』の不二家関連報道に関するTBS検証委員会の報告書


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