2008-12-11

■知的障害者の殺人未遂 心神耗弱を認め懲役5年6ヶ月

知的障害者の犯罪と39条の問題はきちんと議論して国民的合意を経る必要があるなあ…

それにしても、千葉県東金市の事件、逮捕前のメディアのでたらめな振る舞いはどうにかならなかったのか。TBSの女性記者が容疑者(当時はまだ容疑者ですらない)といっしょにカラオケ行ったり、「メル友」になったり。何が自分に有利で、何が自分に不利かを判断できない、自己防衛能力のない知的障害者をトラップにかけるようなおとり捜査取材が許されていいはずがない。そんな無法が横行すれば、公権力によるメディア規制に好材料を与える自殺行為だということに何故思い至らないのだろう?

昨夜(12/9)のニュースでチラッと映ってた弁護士(初めて接見)は、この分野(被害・加害問わず)の案件を一手に引き受けてる感のある副島洋明氏だった。続獄窓記(山本譲司著)に出てくる佐藤弁護士(仮名)は副島氏のことだろう。
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心神耗弱認め懲役5年6月 男児投げ落としで大阪地裁
2008/12/10 12:07 【共同通信】
 大阪府八尾市で昨年1月、歩道橋から3歳男児を投げ落として大けがをさせたとして、殺人未遂罪に問われた無職吉岡一郎被告(43)に、大阪地裁は10日、懲役5年6月(求刑懲役12年)の判決を言い渡した。

 判決理由で樋口裕晃裁判長は「男児を投げ落とせば死亡する可能性を認識することはできた」と殺意を認めた上で「危険性の高い悪質な犯行」と指摘。一方、求刑より刑を軽くした理由として「知的障害などで善悪の判断や行動制御能力が低下しており、心神耗弱の状態だった」と述べた。

 被告は裁判所の精神鑑定で「知的障害があり、責任能力は限定的」と診断されていた。検察側は「殺意も責任能力もあった」と主張していた。

 判決後、男児の父親(34)は「刑期が極めて短い。親の立場からすれば障害の有無は関係ない」と語った。
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歩道橋男児投げ落とし 懲役5年6月判決…大阪地裁
(2008年12月10日 読売新聞 関西)
 大阪府八尾市で昨年1月、歩道橋から当時3歳の男児を投げ落として重傷を負わせたとして、殺人未遂罪に問われた無職・吉岡一郎被告(43)の判決が10日、大阪地裁であった。知的障害がある被告の刑事責任能力の程度が争点になり、樋口裕晃裁判長は「知的障害に加え、通所先の授産施設での人間関係によるストレスで激しい葛藤(かっとう)状態にあり、心神耗弱だった」として刑を軽減し、懲役5年6月(求刑・懲役12年)を言い渡した。

 判決によると、吉岡被告は昨年1月17日、近鉄八尾駅前の歩道橋上で、通りがかった男児を抱え上げ、約6・4メートル下の道路に投げ落とし、頭蓋(ずがい)骨骨折などで2か月の重傷を負わせた。

 樋口裁判長は、「是非善悪の判断能力が著しく低下していた」とされた公判段階の精神鑑定結果を採用。「人間関係のあつれきを解消するために殺人を犯そうとするのは、目的と手段の均衡があまりに失している」とし、責任能力は限定的とした。量刑理由では「全く落ち度のない男児を投げ落としており、相当に悪質。過去にも幼児に対する犯行を繰り返しており、再犯も危惧(きぐ)される」と述べた。

 検察側は「知的障害の程度は軽かった」などと完全責任能力を主張していた。

 判決を傍聴した男児の父親(34)は閉廷後、「量刑は求刑の半分もなく、極めて短い。知的障害を理由に罪が軽くなるのは納得できない」と話した。
知的障害の被告 地域ぐるみ支援

 吉岡被告は今回の事件前にも幼児を対象にした誘拐などの事件を6件起こし、うち2件で実刑判決を受けていた。

 法務省矯正局が2006年に全国の15刑務所で実施した調査では、知的障害か、その疑いがある受刑者410人中、69%の285人が再犯で、うち約3割が出所から3か月以内の犯行だった。藤本哲也・中央大教授(犯罪学)は「支援体制の乏しさが要因」と指摘する。

 吉岡被告が事件当時に通っていた授産施設「ゆうとおん」(大阪府八尾市)は、出所後も吉岡被告を受け入れる方針だが、畑健次郎理事長は「施設だけでは限界がある」と訴える。

 こうした現状を受け、八尾市や大阪府、同施設のほか、吉岡被告の家族や弁護人、有識者らが今年10月に協議。行政を巻き込んだ異例の対応で、地域ぐるみで出所後の再発防止に取り組むことを確認した。今後、具体的な支援策を検討する。

 協議に出席したNPO法人「大阪障害者自立生活協会」の楠敏雄理事長(63)は「施設では1人の障害者に特化したケアは難しい。精神科医の紹介など、行政にできることは多い。多様な専門家がこまめに面会して変化を読み取る体制作りが重要だ」と話す。
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  • ◆責任無能力(心神喪失)〔ボーダレス型犯罪〕
行為者が、当該行為の「実行のとき」、精神障害のため、行為の不法を弁別しまたはその弁別に従って行為する能力がない場合をいう(他行為可能性・非難可能性)。その者は、責任なく行為したものである、とされ無罪となる(刑法39条1項。民法7条の被後見人を参照)。この原則は、責任主義(「責任と行為の同時存在」)の原則から導かれ、その判断基準は、精神医学的要素(精神の障害)と規範的要素(弁別能力と統御能力)の二つの要素に求められる。この概念は、裁判官の判断で、法律上のものである。
(現代用語の基礎知識2006)

  • ◆限定責任能力(心神耗弱)
精神障害のため、責任能力が著しく減弱している場合をいう。この者は、有罪ではあるが、刑は減軽しなければならない(刑法39条2項。民法11条の被保佐人を参照)。
(現代用語の基礎知識2006)

  • ◆心神喪失者等医療観察法
措置入院(→別項)の問題点解消のため、重大な触法行為を行った者に対する処遇法が成立した。この新法の目的規定(第1条)では、「心神喪失または心神耗弱等の状態にある者が、重大な他害行為(殺人、放火、強盗、強姦、強制わいせつおよび傷害)を行い」検察の不起訴処分、無罪または刑の執行猶予を言い渡された場合に、「その者を継続的かつ適切な医療・観察・指導により、その病状の改善および行為再発の防止を図り、社会復帰を促進」するとしている。この制度による処遇は、原則3年(2年まで延長可)である。しかし、この新しい医療観察入院制度は、立案の契機となった池田小事件の犯人のような人格障害で責任能力があり、長期収容を要する者は対象としていない。刑法を改正してドイツ型の刑事治療処分(原則無期限)の導入を検討する時期にきている。
(現代用語の基礎知識2006)

  • ◆人格障害者問題とその社会治療
「1999(平成11)年9月、東京・池袋の路上で、買い物通行人に包丁と金鎚を使って突然に襲いかかり、女性2人を殺害し、6人に重軽傷を負わせた」として殺人、殺人未遂などの罪に問われた「人格障害」の被告人(26歳)に対して、求刑どおり死刑の判決が言い渡された。また人格障害者が大阪池田小に乱入し、8人の児童を殺害し、十数名に重軽傷を負わせた事件に対しても死刑判決が出され、2004年9月に執行された。
「人格障害」とはかつて「精神病質」といわれ、人格や性格の著しい偏りのため、ときに物事の善悪を判断する能力や自分の行動を制御する能力が減退している状態を意味する。しかし、医療観察法(→別項)はこうした人格障害者を対象としていない。特に人格障害犯罪者に対する死刑が廃止されれば、ドイツ型の「社会治療」という新しい処遇困難者対策を導入する必要がある。この「社会治療」は矯正処遇がまったく不可能とされる者に厳しい社会訓練を施して、その悪しき生活行動パターンを克服する技術を身につけさせる処遇方法のことである。
(現代用語の基礎知識2006)

女児死体遺棄事件取り調べに注文 「言語化にハンディある」弁護士
2008/12/10 20:06 【共同通信】
 千葉県東金市の保育園児成田幸満ちゃん(5)が遺体で見つかった事件で、死体遺棄の疑いで逮捕され、軽度の知的障害があると発表された勝木諒容疑者(21)の弁護を担当する副島洋明弁護士が10日までに、共同通信のインタビューに応じた。

 同弁護士は「勝木容疑者のような知的障害者は記憶を言語化する力にハンディがある。取り調べの可視化に加え、調書も一問一答形式にすべきだ」などと述べ、弁護活動の課題も明らかにした。

 副島弁護士は、2004年に2件の強盗容疑で逮捕された宇都宮市の知的障害者が虚偽の自白調書を作成され、後に無罪になった事件などを担当。勝木容疑者への初めての接見に先立ち8日午後、都内の事務所で2時間余りのインタビューに応じた。

 副島弁護士は、知的障害があると記憶を言葉で再現するのに通常の5、6倍の時間はかかり「『死ぬ』と『殺す』の区別もつかない」とも指摘。「自白の任意性を確保するため、供述調書は(独白のような)物語形式ではなく(調べ官との)一問一答形式が望ましい」と述べた。



 一方、東金署捜査本部は10日、この事件では録音などをしない方針を示した。
(2008年12月10日14時44分 読売新聞)
副島弁護士は「勝木容疑者は記憶や認知があいまい。時間をかけてゆっくり確かめないといけない」と指摘し、東金署捜査本部に取り調べの様子を映像や音声で記録するよう求めたことを明らかにした。

 一方、東金署捜査本部は10日、この事件では録音などをしない方針を示した。




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